2025.08.14
業務委託先と連絡が取れない!契約書に「賠償」と書いてあるけどどうすればいい?

連絡が取れなくなった!
ありがちな業務委託トラブルのパターン
広告制作やデザイン、システム開発などを業務委託した際に、
- 制作途中で連絡が途絶えた
- 納期を過ぎても納品がない
- データや進捗状況も不明…
といった事態は珍しくありません。
中には契約書に「連絡が取れなくなった場合は損害賠償を請求できる」との条項が入っていることもありますが、条文がある=すぐに賠償できるとは限りません。
「連絡が取れない=賠償請求できる」
ではない理由

損害賠償を請求するには、法律上は次の要件を満たす必要があります。
- 相手方に契約違反(債務不履行)がある
- その契約違反によって損害が発生している
- 契約違反と損害の間に因果関係がある
単に連絡がつかないだけでは、「損害」が具体的に立証できない場合も多く、契約書に書いてあっても自動的に賠償が認められるわけではありません。
損害賠償が認められるには

債務不履行があっても、損害賠償請求をするにはさらに次の立証が必要です。
- 損害が発生したこと
例:納期遅れで広告キャンペーンが中止になった、別業者を急遽手配して追加費用が発生した等 - 損害と債務不履行との因果関係
例:連絡不能が原因で制作が止まり、その結果キャンペーンを逃したという因果の証明 - 損害額の算定
例:追加発注費用500万円、失われた利益400万円など
この3つが揃わないと、「契約違反はあったが損害が立証できない」として賠償は認められない可能性があります。
実際に取るべき対応
- 証拠を集める
メール・チャット履歴、納品物の有無、納期や業務内容を示す契約書などを確保。 - 内容証明郵便で催告
「○日までに連絡・納品がなければ契約を解除し、損害賠償を請求します」と正式に通知。 - 契約解除・代替発注
催告に応じなければ契約解除し、別業者に依頼。発生した追加費用や納期遅延による損害が賠償対象になる可能性があります。 - 損害額を算定し請求
追加制作費や逸失利益(キャンペーン時期を逃した売上減少など)を具体的に計算して請求。
弁護士に相談するメリット

- 契約条項が法的に有効かどうかをチェック
- 損害賠償請求が可能かの判断と金額算定
- 内容証明や交渉、訴訟手続きを代理
- 相手の所在調査や連絡ルートの確保
損害賠償請求したい!
弁護士に相談すべきタイミングは?

損害賠償を視野に入れた弁護士相談は、「損害が発生しそう」と感じた時点で動くのがベストです。
実務的には次の3つのタイミングが目安になります。
連絡が途絶えて「これはおかしい」と感じたとき
- 納期や報告期限を過ぎても音信不通
- メール・電話・チャットが数日〜1週間以上返ってこない
- 業務継続が危ぶまれる状況
この段階で相談すれば、催告の仕方や証拠の残し方を弁護士が指示でき、後の請求準備がスムーズになります。
追加費用や損害が確定しそうなとき
- 別業者に再発注が必要になった
- 広告出稿やイベントなどの機会を逃しそう
損害が確定してからではなく、「発生しそう」と思った段階で相談する方が、損害額や因果関係の証拠を集めやすいです。
契約解除を検討するとき
- 契約解除の条件を満たすか判断が必要
- 解除通知の文言や方法を誤ると、逆に契約違反を主張されるリスクあり
弁護士が解除通知文面や送付方法(内容証明郵便など)を整えてくれます。
相談すべきか迷った時点でご相談ください

契約書に「連絡が取れなくなったら賠償」と書いたとしても、損害の証明が必要となり、すぐに請求できるわけではありません。
まずは証拠の確保と正式な催告が重要です。
状況によっては契約解除や追加費用の請求が可能になるため、早めに弁護士に相談し、適切な対応を取りましょう。