企業法務コラム

2025.11.26

売掛金・債権回収で必要な主な証拠とは?弁護士がわかりやすく解説

売掛金・債権回収で必要な主な証拠とは?弁護士がわかりやすく解説

「請求書も送ったのに支払ってくれない…」
そんなとき、すぐに弁護士へ相談しても、証拠が十分に揃っていないと回収は難しくなります。
売掛金の回収で最も重要なのは、「取引の事実」と「支払義務の存在」を裏付ける証拠です。
この記事では、弁護士が実際に確認する主な証拠と、その集め方のポイントを解説します。

売掛金回収で求められる3つの基本証拠

1. 取引の事実を示す証拠

「確かにこの取引が行われた」ということを示す資料です。

有効な証拠例:

  • 契約書・注文書・発注書
  • 請求書・見積書・納品書・受領書
  • 取引に関するメールやLINEのやり取り
  • 送付した商品やサービスの納品記録・伝票

これらは、裁判でも「売掛金の発生」を立証する上で基本となる証拠です。
特に、契約書がなくてもメール・請求書・納品書の組み合わせで十分有効です。

2. 支払い義務の存在を示す証拠

取引相手が「支払う約束をした」または「支払う意思を認めている」ことを示す資料です。

有効な証拠例:

  • 「支払い予定です」「今月中に入金します」などのメール・LINE
  • 支払いスケジュール表、念書、覚書など
  • 過去の振込明細や領収書(継続的な取引関係を示せる)

このような資料があると、「債務の存在」を本人が認めていることになり、
訴訟でも非常に強力な証拠となります。。

3. 支払いが行われていないことの証拠

請求をしたにもかかわらず支払われていないことを示す資料です。

有効な証拠例:

  • 銀行口座の入出金明細(該当の入金がないことを示す)
  • 督促メールや内容証明郵便の控え
  • 支払期日を過ぎた請求書や催促書

特に内容証明郵便は、「いつ・どんな内容で請求したか」を正式に記録できるため、
弁護士も積極的に利用する重要な証拠です。

証拠を集める際の注意点

証拠を集める際の注意点

時系列で整理する

取引開始→請求→督促→未払いの流れをまとめておくと、弁護士が状況をすぐに把握できます。

デジタルデータを削除しない

メールやチャット履歴、PDF請求書、銀行明細などは削除せず保存を。
原本データ(.emlや.pdf形式)があれば信頼性が高まります。

取引相手の情報も控えておく

会社名、所在地、代表者名、取引銀行など。
これらは資産調査や差押えの段階で重要になります。

弁護士が行う「証拠の補強」と「回収の実現」

証拠が足りない場合でも、弁護士は以下の方法で回収可能性を高めます。

  • 不動産登記簿や取引銀行などから資産を調査
  • 弁護士名義の内容証明郵便を送付し、債務の存在を認めさせる
  • 裁判・仮差押えなどの手続を通じて、強制的に資金回収を実現

実際に、弊所でもこうした証拠整理と調査を通じて、
資金返還を実現したケースがあります。

開業支援名目で支払った資金を巡り、全額回収を実現した事例

▶︎ 詳しくは[開業支援名目で支払った資金を巡り、全額回収を実現した事例

まとめ。証拠を揃えることで回収の可能性は高まる

共同経営はうまくいかない?弁護士に相談ください。

売掛金回収では、「どれだけの証拠を準備できるか」が結果を左右します。
請求書やメールの1通でも、法的には十分な根拠になり得ます。
もし証拠が足りない・整理が難しい場合でも、
弁護士が補強調査を行うことで回収の道を開くことができます。

「これだけの資料しかないけれど大丈夫?」
そんな段階でも、まずはお気軽にご相談ください。
早期の対応こそが、売掛金回収の成功率を大きく高めるポイントです。

裁判や交渉によって弁護士が解決した解決事例を見る
弁護士法人高瀬総合法律事務所
ツールバーへスキップ