2026.03.31
【調達直後スタートアップ向け】資金調達後にまず見直すべき契約書5選

シリーズA後に弁護士が真っ先にチェックする法務インフラ
シリーズAで資金調達を終えたスタートアップは、事業が次のステージに進みます。採用が始まり、取引が増え、外部との連携も一気に広がる。会社としての成長スピードが上がる一方で、このタイミングで目立って増えるのが「契約書をめぐるトラブル」です。
創業期はどうしても、テンプレートの契約書で走り出してしまったり、口約束で進めてしまったりする場面もあります。しかし調達後は、会社の契約がそのまま企業価値を支える土台になります。
この記事では、弁護士の視点から「資金調達後にまず見直すべき契約書」を5つに絞って整理します。
1. 雇用契約書|採用拡大フェーズの最優先事項

調達直後、最初に動き出すのは採用です。優秀な人材を迎え入れることは成長の原動力ですが、雇用契約が曖昧なままだと、後々のリスクが一気に噴き出します。
たとえば、退職後に競合へ移ってしまったり、会社で開発した成果物の権利が個人側に残ってしまったりするケースです。スタートアップでは特に、秘密保持や知的財産の帰属などを早い段階で契約に落とし込む必要があります。
2. 業務委託契約書|外注が増えるほど危険も増える

シリーズA後は外注も増えます。開発やデザイン、マーケティング支援など、外部パートナーと進める仕事が一気に広がるからです。
ただ、業務委託契約が創業期のままだと、「成果物の権利が誰に帰属するのか」「途中解約できるのか」「情報管理はどうするのか」といった点が曖昧になり、トラブルにつながりやすくなります。
特にプロダクト開発に関わる委託では、知財条項を整備しておくことが欠かせません。
3. NDA(秘密保持契約)|商談が増えるほど必須になる

調達後は、提携や協業の話が急に増えてきます。VC経由で大企業との商談が始まることも珍しくありません。
その際に重要なのがNDAです。スタートアップが扱う情報は、プロダクト仕様や顧客情報、資金調達状況など競争力の源泉そのものです。秘密保持が弱いと、会社の価値が簡単に損なわれてしまいます。
「とりあえず雛形で締結している」という場合は、一度弁護士チェックを入れるべきタイミングです。
4. 利用規約・SaaS契約|サービスが伸びるほど重要になる

プロダクトが成長して利用者が増えるほど、利用規約の重要性も上がります。
利用規約が整っていないと、解約や返金をめぐる争いが起きたり、サービス停止時の責任範囲が不明確になったりします。BtoB SaaSの場合は特に、責任制限やデータ管理の条項が企業価値に直結します。
「ユーザーが増えてきた段階で初めて問題に気づく」というケースが多いため、調達直後に整備しておくのが理想です。
5. 投資契約・株主間契約との整合|意外と見落とされがちな落とし穴

最後に重要なのが、投資契約との整合です。
シリーズA以降は投資契約の中に、事前承認事項や拒否権条項が入っていることが一般的です。そのため、日常的な契約締結でも「取締役会決議が必要」「投資家承認が必要」といった制約が生じる場合があります。
既存の契約運用が投資契約と噛み合っていないと、次の調達やIPO準備で問題になります。ここは弁護士が全体を見渡して整理する必要があります。
まとめ|契約書整備は「企業価値を守る投資」

資金調達後にまず見直すべき契約書は、雇用契約書、業務委託契約書、NDA、利用規約、そして投資契約との整合確認です。
調達後の法務整備は単なるトラブル防止ではありません。会社の成長スピードを落とさずに、企業価値を守るための投資です。
調達後の契約書整備は弁護士にご相談ください

髙瀬総合法律事務所は、スタートアップを含む数百件規模の顧問対応実績を通じて、成長企業特有のスピード感と実務事情を熟知しています。
調達直後の契約書整備から、投資契約との整合確認、IPO準備を見据えた法務体制構築まで、迅速かつ的確にサポートします。






