2026.02.19
中小受託取引適正化法(取適法)施行で何が変わる?気を付けることは?

受注側・発注側が気を付けるべき実務ポイント【弁護士解説】
2026年1月、「下請法」に代わる新しいルールとして
中小受託取引適正化法(取適法)が施行されました。
中小受託取引適正化法(取適法)について詳しくは下記の記事もご覧ください。
- ・「中小受託取引適正化法」と「下請法」は同じ?その違いとは?(Kanagawa Office)
- ・中小受託取引適正化法(取適法)関係(公正取引委員会WEBサイト)
従来の下請法は製造業中心の枠組みでしたが、取適法ではより広く、
業務委託・IT・サービス取引にも適用が拡大しています。
つまり、これまで「うちは対象外だと思っていた」企業ほど、
新法対応が急務となっています。
【取適法の目的】受託側の立場を守る取引ルールへ
取適法の最大の狙いはシンプルです。
- 受注側が不利な条件を押し付けられないようにする
- 発注側の優越的地位の濫用を防ぐ
- 適正な価格転嫁・契約透明化を促す
これにより、取引の現場では慣習で済まされていた対応が
法令違反として明確に問われる時代になります。
【受注側】中小企業が取適法で気を付けること

受注側にとって取適法は「守ってくれる法律」ですが、
黙っているだけでは守られません。
1. 契約書・発注書が出ない取引は危険
取適法では、取引条件の明示がより重要になります。
- 業務範囲
- 報酬額
- 支払期日
- 仕様変更時の扱い
が曖昧なまま進むと、トラブル時に不利になります。
必ず書面・電子データで残すことが防衛策です。
2. 「追加対応」が無償になっていないか
現場で多いのが「ついでにこれも」「少し修正して」「急ぎで対応して」という追加発注の押し込みです。
取適法では、正当な対価なく業務を増やすことは問題になり得ます。
仕様変更は必ず追加見積・追加契約へ。
3. 支払遅延・減額の兆候を見逃さない
取適法では、支払条件の適正化が強化されています。
- 支払いが遅れる
- 後から値引きされる
- 理由のない減額
は典型的な違反類型です。
請求書・支払履歴の管理が重要です。
4. 価格転嫁交渉を「言い出せる」環境整備
原材料費・人件費が上がる中、価格転嫁は避けられません。
取適法はその交渉の後押しにもなります。
「言いにくい」ではなく、法的根拠を持って交渉する時代です。
【発注側】委託企業が取適法で注意すべきこと

発注側は「知らなかった」では済みません。
取適法違反は行政指導・企業名公表リスクもあります。
1. 発注時の条件提示義務が重くなる
口頭発注やチャットだけで進める取引は危険です。
- 発注内容
- 単価・報酬
- 支払期日
を明示しない取引は、法令違反の入口になります。
契約書テンプレート整備が必須です。
2. 「協力会社だから」は通用しない
よくある発注側の感覚として
- 長年の付き合いだから
- 相手も分かっているはず
という慣行があります。
しかし取適法では、取引の透明性が求められます。
「信頼関係」と「法的ルール」は別物です。
3. 仕様変更・やり直し指示の負担転嫁に注意
発注側都合での変更により
- 手戻り
- 追加工数
- 納期短縮
が発生した場合、無償対応を求めると違反リスクがあります。
変更管理プロセスを社内で統一する必要があります。
4. 支払運用の見直しが必要
支払が長すぎる場合や、検収を引き延ばす運用は要注意です。
- 検収遅延=支払遅延
- 実質的な資金負担の押し付け
となり得ます。
経理・購買部門の運用改善が重要です。
取適法対応は「契約書の整備」が最優先

結局、取適法の実務対応はここに集約されます。
- 契約条件を明確にする
- 追加業務・仕様変更のルール化
- 支払・検収プロセスの透明化
- 社内の発注フロー整備
これを怠ると、法的リスクだけでなく
受託企業との信頼関係も崩れます。
弁護士からの実務アドバイス

取適法は「新しい下請法」ではなく、
業務委託全般の取引ルールを強化・拡充された法律です。
特にIT・広告・制作・コンサルなど
これまでグレーだった業界ほど影響が大きいでしょう。
施行直後の今こそ、
- 契約書の見直し
- 発注書運用の整備
- 社内研修・チェックリスト導入
を進めるべきタイミングです。
法務整備・契約書チェックはお早めにご相談ください
取適法対応は、ひな形を揃えるだけでは不十分です。
業種・取引構造に応じた設計が必要です。
顧問実績多数、企業の現場に精通した弁護士が
スピーディかつ的確にサポートします。
取引適正化・契約整備のご相談は、ぜひ当事務所へお問い合わせください。






