2026.01.21
自社役員が従業員を引き連れて新会社を設立する!?阻止できるのか?

「自社の役員が、在職中に従業員を引き連れて新会社を立ち上げたらしい」
経営者または役員の方から、このようなご相談を受けることがあります。
信頼していた役員による独立は、会社にとって大きな痛手になりかねません。
では、このような行為は止めることができるのか、また法的に問題はないのか、整理して解説します。
役員には「競業避止義務」がある

会社の役員(取締役など)は、会社に対して忠実義務・善管注意義務を負っています。
その一環として、会社と競合する事業を無断で行うことは、原則として認められていません。
特に問題となりやすいのが、
- 在任中に競合会社を設立する
- 会社の顧客・取引先を引き抜く
- 従業員に退職・転職を働きかける
といった行為です。
これらは会社法上の「競業取引」や「利益相反取引に該当する可能性があり、
取締役会の承認なく行えば、損害賠償責任を問われることがあります。
従業員の「引き抜き」は違法になる?

従業員には職業選択の自由があるため、
単に「一緒に転職する」こと自体が直ちに違法になるわけではありません。
しかし、
- 在職中に組織的な引き抜きを行う
- 秘密情報を使って勧誘する
- 業務時間中に勧誘活動を行う
といった場合には、不法行為や背任行為として問題になる可能性があります。
特に、役員という立場を利用して行われた場合は、
会社に対する裏切り行為として、法的評価はより厳しくなります。
「やめさせる」ことはできるのか?

結論から言うと、完全に止められるかは状況次第です。
ただし、次のような対応は検討できます。
- 競業行為の差止請求
- 損害賠償請求
- 役員の解任
- 就業規則・契約違反を根拠とした対応
特に、事前にどのような契約・規定があったかが極めて重要になります。
競業避止条項や秘密保持契約があるかどうかで、取れる手段は大きく変わります。
当事務所で実際にあった対応事例

実際に当事務所では、会社役員が独立を予定している段階で、顧客や従業員の引き抜きを未然に防いだケースを取り扱っています。
この事案では、会社の中核事業を担っていた役員が独立を希望しており、退職後に
- 顧客の引き抜き
- 他の従業員を巻き込んだ独立
- 会社ノウハウや業務プロセスの流出
といったリスクが現実的に想定されていました。
そこで当事務所では、
役員の独立自体を一方的に妨げるのではなく、会社の利益を守ることを最優先に、
- 競業避止義務の整理
- 引き抜きを防ぐための法的合意の設計
- 退職前にルールを明確化する対応
を行い、結果として
顧客・従業員の流出を防いだまま円満に退職が完了しています。
※本件の具体的な対応内容や合意書のポイントについては、
下記の解決事例にて詳しく解説しています。
▶︎ 解決事例:「会社役員が独立する際、顧客や他従業員の引き抜きを防いだ事例」
https://takase-law.tokyo/case/non-compete-obligation20241015/
早期対応がカギになります

役員による独立・引き抜き問題は、
時間が経つほど証拠が失われ、対応が難しくなります。
「もしかして…」と違和感を覚えた段階で、
- 事実関係の整理
- 証拠の保全
- 法的リスクの確認
を行うことが、被害を最小限に抑えるポイントです。
まとめ
役員が従業員を引き連れて新会社を設立する行為は、
必ずしも自由に許されるものではありません。
状況によっては、
会社法違反・不法行為として責任を追及できる可能性があります。
「やめさせられるのか」「何ができるのか」は、
個別の事情によって大きく異なるため、
早い段階で専門家に相談することをおすすめします。






