企業法務コラム

2025.01.08

フリーランス新法制定!正しく理解していますか?10個の誤解

フリーランス新法制定!正しく理解していますか?10個の誤解

2024年、新たに制定されたフリーランス新法。フリーランスとして活動する方々にとって、契約や取引のルールが明確化される一方で、誤解や間違った解釈が生じやすい側面もあります。本記事では、フリーランス新法や下請法に関するよくありがちな誤解を整理し、適切に守るためのポイントを解説します。


よくありがちなフリーランス新法の間違った解釈

例1:自分で作った作品をフリマサイトで販売!購入者がお金を払わない!フリーランス新法違反でしょ?

誤解
フリマサイトを通じて作品を販売する場合、購入者と販売者の間の関係は「取引契約」ではなく、民法上の売買契約に該当します。そのため、フリーランス新法の適用範囲外です。ただし、支払いがされない場合は、一般的な債権回収の手続きを検討する必要があります。


例2:長年(2年)業務委託中のフリーランスに対して電話で5日後に契約を終了することを伝えた

誤解
フリーランス新法では、契約解除に関して合理的な理由と適切な通知期間が求められます。業務委託契約が長期間継続していた場合、契約終了の通知は少なくとも1か月以上前に書面で行うのが望ましいとされています。電話のみの通知は不適切で、トラブルの原因になる可能性があります。


例3:個人のフリーランスなんだし契約書なしで「今からやって!」で伝わったからもう何もしなくても問題なし!

誤解
フリーランス新法では、業務委託契約を締結する際には必ず契約書の作成が義務付けられています。「口頭で伝わったからOK」は法的に無効となる場合があります。契約書には、業務内容、納期、報酬、支払い条件などを明記する必要があります。


例4:フリーランスは労働者じゃないから、ハラスメントの規制対象外でしょ?

誤解
フリーランス新法では、ハラスメントに関する規制も含まれています。業務委託契約の際に発注者がフリーランスに対して不当な要求や圧力をかけた場合、法的責任を問われることがあります。ハラスメントを防ぐためにも、適切なコミュニケーションと公平な契約条件が重要です。


例5:従業員がいるフリーランスに業務を委託した。フリーランス新法に則した契約書を出した。

誤解
フリーランス新法は、発注者と個人事業主のフリーランスとの取引を対象にしています。従業員を雇用している法人や組織としてのフリーランス(いわゆる「小規模事業者」)の場合、原則として適用外です。この場合、下請法など他の法律が関係する可能性があるため、法の適用範囲を理解する必要があります。


例6:業務委託しているフリーランスから支払いについて口頭で了解を得たので支払いを3か月後にした。

誤解
フリーランス新法では、支払い条件を明確にし、適切な期日内に支払うことが義務付けられています。口頭での了解だけでは証拠が不十分なため、後々トラブルになる可能性があります。支払い条件は契約書に明記し、支払いは原則として納品後60日以内に行う必要があります。


例7:我が社の仕事をしてもらうために5,000円費用負担してもらい専用ソフトを使ってもらった。

誤解
フリーランス新法では、発注者がフリーランスに対して不当な費用負担を課すことは禁止されています。必要なソフトウェアやツールの費用は原則として発注者が負担するべきです。このような行為は優越的地位の濫用とみなされる場合があり、違法となる可能性があります。


例8:次回契約更新は10倍の報酬にするからとコンサルティングの仕事を安価で請け負った。

誤解
フリーランス新法では、次回契約の内容や条件を保証する明確な書面契約がなければ、このような取引条件の提示は無効とみなされる可能性があります。次回契約の報酬を理由に現在の業務を安価で請け負わせることは、不公正な取引方法と判断される場合があります。


例9:業務委託している人に暗黙の了解で社長の犬を散歩してもらったり、荷物を配送してもらったりしててすごく助かる!

誤解
フリーランス新法では、契約内容に明記されていない業務を要求することは禁止されています。暗黙の了解で業務範囲外のタスクを押し付けることは、法的な問題を引き起こす可能性があります。契約書には業務範囲を明確に定める必要があります。


例10:急ぎなんでよろしく!ってフリーランスにお願いしたら無料でやってもらえた。

誤解
フリーランス新法では、発注者がフリーランスに対して正当な報酬を支払う義務があります。「急ぎだから」「ついでだから」といった理由で無報酬での業務依頼を行うことは、不当な取引とみなされる可能性があります。


フリーランス新法を正しく守るためのポイント

  1. 契約書の作成を徹底する
    フリーランス新法では、契約内容を明文化することが必須です。書面または電子契約を用い、双方の合意内容を明確にしましょう。
  2. 通知期間を守る
    契約終了や変更を伝える際は、合理的な理由と十分な通知期間を設けることが求められます。
  3. トラブル回避のための確認事項
    契約前に報酬額や支払い条件、業務範囲を十分に確認し、誤解を防ぐ努力を行いましょう。

トラブルを防ぐためには、フリーランス新法や下請法の基本的な理解が重要です。専門的な助言が必要な場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。

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