企業法務コラム

2025.04.23

生成AIで人気キャラクター風の画像を作ったら、使っていい?

生成AIで人気キャラクター風の画像を作ったら、使っていい?

〜社内報やWebサイトに掲載するのはNG?OK?弁護士が解説〜

生成AIの進化により、誰でも簡単に「それっぽい」イラストを作れるようになりました。特に人気キャラクターに“似た”画像が作成できてしまうため、「これって使っても大丈夫?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

今回は、企業が社内報やWebサイトに生成AIで作ったイラストを使う場合の著作権リスクについて、弁護士の視点からQ&A形式で解説します。


Q1:生成AIで作った画像には著作権がないと聞きました。なら自由に使っていいのでは?

A1:画像そのものに著作権がないとしても、「似ている」こと自体が法的リスクになるケースがあります。

たしかに、日本の著作権法上、人間以外(=AI)が作成したものには原則として著作権が発生しません。ですが、問題は「その画像が誰かの著作物(=元のキャラクター)に類似しているかどうか」です。

たとえAIが生成した画像でも、人気キャラクターに「酷似」している場合、それを無断で使うと著作権侵害(翻案権の侵害)や不正競争防止法違反、さらにはパブリシティ権の侵害に問われる可能性があります。


Q2:名前も出していないし、ちょっと似てるくらいなら問題ないのでは?

A2:使用の目的や「どれだけ似ているか」によっては問題になります。

「似ている」だけであっても、たとえば以下のようなケースでは法的に問題になる可能性が高いです:

  • 元キャラクターを連想させる衣装・髪型・ポーズ・配色
  • キャラの固有ポーズやアイテムが含まれる
  • ファンが見れば「これはあのキャラだ」と分かる程度の再現性がある

このような場合、著作権者や関連企業から削除要請や損害賠償請求を受ける可能性があります。


Q3:社内報だけで使うなら、社外に出ないから問題ない?

A3:社内利用であっても、リスクはゼロではありません。

「社内だけだから大丈夫」と思いがちですが、以下のようなリスクも存在します:

  • 社内報がイントラネットやPDFで共有され、外部に流出する可能性
  • 退職者や関係者がSNSにアップするケース
  • 社員からの内部通報や、権利者側の自動検出システムによる指摘

万一問題が表面化すれば、企業イメージの低下広報リスクにつながる可能性もあります。


Q4:じゃあ、どんな使い方ならOKなの?

A4:以下のような対策が有効です。

  • 「権利的にクリア」と明示されたAI画像素材サイトを利用する
    └ 著作権フリーと明示された生成AI素材を活用
  • オリジナル性を高め、特定のキャラクターに似せないよう注意する
    └ 例)プロンプトに「人気アニメ風」など曖昧な表現を避ける、構図・カラーリングも独自性を重視
  • 法務部や弁護士と事前に確認する
  • 生成プロンプトや学習元モデルの確認を行う
    └ AIが何を学習して生成しているのか、また「どんな指示(プロンプト)で作られたか」を意識することが重要です。

【補足】生成プロンプトと学習モデルって?

  • プロンプトとは、AIに画像を作らせるときの「指示文」です。
    たとえば「赤い帽子をかぶった、あの有名配管工風のキャラクター」などと曖昧に書くと、特定キャラに似た画像が生成されてしまう可能性があります。
    →「誰かに似ていないか」を意識してプロンプトの文言をチェックしましょう。
  • 学習モデルとは、AIが学習に使った画像データの集まりです。
    生成AIの中には、著作権者の許諾を得ずに画像を学習に使っているケースもあります
    →企業での利用では、「商用利用が許可されている学習モデルか」を必ず確認することが重要です。

このように、プロンプトの設計や学習元データの選定によって、リスクを大きく減らすことが可能です。
とはいえ、最終的な使用可否の判断は専門的な視点が必要となるため、社内だけで判断せず、法務部門や弁護士への相談を前提とする運用体制が安全です。

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生成AIの活用はビジネスにおいて魅力的ですが、「似てるけどAIが作ったから大丈夫でしょ?」という認識は危険です。
特に、企業の公式コンテンツとして使用する場合は、「万が一のリスク」に備えた確認プロセスを持つことが重要です。

当事務所では、AIコンテンツの利用に関する契約・社内ガイドラインの整備・個別の画像利用可否の判断について、実務に即したアドバイスを提供しています。

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