企業法務コラム

2025.06.11

生成AIで「安く・早く」法務DDはできるのか？弁護士が考えるリスクと現実

近年、ChatGPTなどの生成AIがビジネスのあらゆる場面で活用され始める中、「法務DD（デューデリジェンス）をAIで安く・早く行えないか？」と考える方が増えているように思えます。

しかし、結論から言えば、生成AIだけに頼った法務DDには大きな落とし穴があります。本記事では、弁護士の視点からそのリスクを解説しつつ、なぜ専門家の関与が不可欠なのかをお伝えします。

生成AIは、契約書の条項チェックや条文の要約、法的文書の分類など、特定のタスクには非常に優れた性能を持っています。しかし、法務DDにおいては「形式的な確認」だけでなく「背景や文脈を含めたリスク判断」が求められるため、AIのみで完結することはできません。

たとえば、以下のような判断はAIで難しく、弁護士だからこそできます。

これらは、生成AIがいくら進化しても、現時点では対応が難しい部分であり、誤った判断によって後の法的トラブルに発展するリスクを孕んでいます。

法務DDは、単なる書類チェックではなく、M&Aや資本提携といった重大な意思決定の根拠となるプロセスです。特に以下のような場合には、弁護士による精緻なチェックが不可欠です。

生成AIの力を補助的に活用するのは有効ですが、最終的なリスク判断をAI任せにするのは非常に危険です。「人が責任を持って判断する」プロセスこそが、法務DDの本質であり、弁護士のサポートなくしては成立しません。

弁護士に相談することで、法務DDがより確実なものになるだけでなく、経営者や法務担当者自身が、会話を通じて潜在的な問題に気づけることも大きなメリットです。
専門家との対話によって、表面化していないリスクや、自社内では見落としがちな論点にも光が当たり、より実効性のあるリスク対策が可能になります。

生成AIを活用することで、確かに一部作業の効率化やコスト削減は実現できるでしょう。しかし、見落としや誤解釈によって契約無効や損害賠償に繋がるケースもあり、「安さ・速さ」を追求した結果、かえって高くついてしまうこともあります。

特に、中小企業においては、法務リソースが限られている分、AIツールに依存しすぎて取り返しのつかない事態になるケースも少なくありません。

生成AIは法務の現場にとって確かに有用なツールです。しかし、それはあくまでも「人が使いこなす」ことが前提であり、AIがすべてを代替する時代はまだ到来していません。

法務DDは、その結果によって企業の将来が大きく左右される場面です。安さやスピード感を追求する前に、まずは信頼できる弁護士にご相談ください。リスクを最小限に抑え、安心して次の一手を打つための支援が、私たちにはできます。

心配が残る方はぜひ一度お気軽にご相談ください。
AIの活用とリスク管理の両立を目指す経営者・法務担当者の皆さまに、
最適な法務DDプランをご提案いたします。

生成AIでは見抜けない法務リスクを、弁護士が丁寧にチェック。
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