企業法務コラム

2025.03.12

【AIと契約書作成】弁護士が見るメリット・デメリット、リスク、そしてAIでは対応できない場面

【AIと契約書作成】弁護士が見るメリット・デメリット、リスク、そしてAIでは対応できない場面

近年、AIを活用した契約書作成・審査・管理サービスが急速に普及しています。企業の法務部門でも "生成AI" を活用することで、契約業務の効率化が期待されています。しかし、法務省のガイドライン「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」に示されているように、AIの利用には法的リスクも伴います。

本記事では、弁護士目線でAIを活用した契約書業務のメリット・デメリットを整理し、企業が注意すべきポイント、そしてどのような場面で弁護士の関与が必要になるのかを解説します。

AIを活用した契約書業務のデメリットとリスク事項

AIを活用した契約書業務のデメリットとリスク事項

AIの判断には限界がある

AIは過去のデータを基に分析するため、個別案件における細かいニュアンスや新しい法改正には対応しきれません。

責任の所在が企業側にある

AIが生成した契約書に誤りがあった場合、その責任はAIではなく企業側にあります。法務リスクを考えると、最終的なチェックは必須です。

非弁行為のリスク(弁護士法第72条)

弁護士法第72条」は、弁護士でない者が法律事務を有償で行うことを禁止しています。AIが法的助言を行った場合、非弁行為に該当する可能性があり、企業がAIサービスを利用する際は慎重な判断が求められます。

情報漏洩リスク

AIサービスを利用する際、契約書の内容がクラウドに保存・分析される場合があります。機密情報の取り扱いには十分な注意が必要です。


法務省のガイドラインを弁護士目線で解説

法務省のガイドラインを弁護士目線で解説

「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」のガイドラインでは、AIがどこまで契約業務に関与できるかについて明確な基準を示しています。

このガイドラインのポイントは次のとおりです。

企業が自社の契約書をAIでチェックするのは問題なし
企業の法務部門が補助ツールとしてAIを使うのは許容されます

AIが法的助言を提供する場合は弁護士法違反の可能性
AIが契約条項の有効性や修正案を提示し、それを元に契約書を作成する場合は非弁行為となる可能性があります

最終的な判断は人間が行う必要がある
AIの結果をそのまま使用せず、法務部や弁護士が必ず最終チェックを行うべきです。AIはハレーション(予期しない生成をすることをいいます)を起こすことを念頭に扱います。


AIでは対応できない、弁護士が必要な場面

AIでは対応できない、弁護士が必要な場面

生成AI が契約書作成の支援をしてくれるとはいえ、以下のようなケースでは弁護士の専門知識が不可欠です。ぜひ一度ご相談下さい。

契約交渉やトラブル対応のケース

契約相手との交渉や紛争が発生した際、AIでは対応できず、弁護士による戦略的なアドバイスが必要になります。特に弁護士は交渉のプロです。弁護士を頼ることでスピード解決に繋がりコストが削減できます。

複雑な法的判断が必要な契約

M&A、国際取引、技術契約、ライセンス契約など、高度な法的知識が求められる契約では、弁護士の関与が必須です。

契約リスクを最小限に抑えたいとき

AIは一般的なリスクの指摘はできますが、それをどのように調整し、交渉に活かすかは弁護士の判断が重要になります。弁護士とならリスクの調整が相談ベースで行うことができ安心です。

新しい法改正への対応

AIは過去のデータに基づいて学習するため、新しい法律の適用には即座に対応できません。AIの特徴は学習した知識を生かして問題を処理する事に長けています。その一方で、学習していない領域のフォローがなければ古い情報のまま問題を処理してしまいます。最新の法改正に基づく契約書の作成や修正は、弁護士が関与すべき分野です。


AIと弁護士の適切な使い分けが重要

企業にとって、AIを活用した契約業務支援サービスは非常に有用ですが、それを過信することはリスクを伴います。弁護士法第72条に違反しない範囲で適切にAIを活用しながら、最終的なチェックや判断は専門家である弁護士に依頼することが、安全な契約管理の鍵となります。

企業法務の効率化とリスク回避のために、AIと弁護士をバランスよく活用していきましょう。

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